マンガ「すんドめ」のこと

既に完結しているマンガである。 

一般コミックだが、少年コミックと成年コミックの中間的内容となっている。 

倒錯した愛に見えるが、その実、純愛とも受け取れる。 

エッチなところを除けば「愛と死を見つめて」である。 

耽美(たんび)的だと思う。 

 

以下ネタバレである。 

描かれていない部分を考えたい。 

 

必ず原作マンガを読んでからお読みいただきたい。 

 

 

◆早華胡桃(さはなくるみ)の病気について 

 

特定の病名を明かしていない。 

最も疑われるのは白血病だろう。 

だが、白血病とは異なる部分も散見される。 

「不治の病」で死期が明確な、この作品独自の病気だろう。 

病名を特定すると治療内容が必要になるからだ。 

 

点滴や輸血をしていたと思われる。 

抗がん剤もあったかもしれない。 

 

胡桃は児童養護施設「光つくし園」の出身のようだ。 

病気となり病院の近くにひとりで住むために転校してきたのだろう。 

病気のこと、死期(余命)も知った上でのことである。 

 

どうして転校したのか、だ。 

ストーリー展開のためで、想定されていないかもしれないが、あえて考えてみる。 

治療の際、「浪漫倶楽部」の話を担当医から聞いたのではないだろうか。 

活動内容や掟など、メンバーのことも。 

写真も見て、胡桃は一目惚れした。 

残った日々を彼と過ごしたいと願ったのではないだろうか。 

 

『君とは絶対にSEXしないよ 地球上で二人きりになったとしても』 

死期と掟を最初から知っていたとすれば納得できるだろう。 

胡桃も最初から英男が好きだった。 

好きだからこそしなかったのである。 

あるいは子供が産めないため、希望を持たせたくなかったのかもしれない。 

 

 

胡桃が最後に入っていた病室は無菌室だった。 

白血病の場合、抗がん剤や放射線治療で無菌室を使うこともある。 

一般的には大きな空気清浄機を使うだけだ。 

描かれていた部屋は、骨髄移植のために放射線照射などで使う無菌室だった。 

延命のためには使わないと思う。 

何かの治療行為をしていたと考えられる。 

 

よくある「新薬」という最後の希望だったかもしれない。 

すぐに亡くなる状態ではなく、治療が為される状態にあったのである。 

 

 

◆死について 

病気のため、胡桃は亡くなったと思われる。 

いつ、か。 

 

最後の描写では指を握り返していない。 

途中で亡くなったかのようでもある。 

が、『起きたらSEXしよ』というのはその時点での胡桃の言葉だと思う。 

 

掟を守っただろうから、SEXはしていないだろう。 

起きなかったか、起きてもしなかったか、できない状況だったかである。 

 

その場で目覚めることなく、病院に搬送されたのではないだろうか。 

病院で意識を取り戻し、ある程度の期間(短いかもしれないが)の後に亡くなったと思う。 

 

なぜか。 

第一の理由に、病院から抜け出すことを医師が黙認していることである。 

連れ出せば亡くなる可能性が高ければ、どんな理由があろうと連れ出させないだろう。 

浪漫倶楽部のOBだから、連れ出す作戦もお見通しだったのだから。 

 

英男の状態からもそう思える。 

もし連れ出した際に亡くなったとしたら、どう思うかである。 

波の華を観に連れて行くという約束は守っても、死を早めたらどうだろうか。 

自責の念と喪失感は計り知れない。 

 

その後、英男は研修医となっている。 

性癖への影響はあるが、胡桃の死による精神的傷はそれほどなさそうに思える。 

これは波の華の一件の後、その始末がちゃんと行われ、何の問題もなく、病院で息を引き取ったからではないだろうか。 

 

何より、もし胡桃が亡くなっていたら、自らも死を選ぶだろうと思うからである。 

一緒にボートで海に出ていくだろう。 

ふたりで波の華になるために。 

 

 

◆ 「すんドめ」とは 

ふたりの行為が寸止めなのだが、もうひとつの寸止めがある。 

読者に対してだ。 

 

前述のように、知りたい部分が書かれていない。 

どうしてだったのか、どうなったのか、自分で考えろということなのだ。 

推理小説で言えば、犯人もトリックもあやふやなまま終わっている状態である。 

だからそれらを考えてしまうのだが。 

 

 

 

少し方向は違うが、実写版についても書いておきたい。 

コミックは8巻で完結、実写は4本で完結となっている。 

実写の胡桃役の鈴木茜は可愛い。 

原作のイメージと重なる部分もあるが、違う部分も当然ある。 

それでもマンガより実写の女の子の方が好きになりやすい。(そうでない人もいるだろうが・・・) 

ところが鈴木茜は引退している。 

実際は引退を考えていたのだが、「すんドめ」の契約の関係から引退を伸ばしていたのである。 

が、引退したことは作品的にはプラスだろう。 

胡桃が亡くなったのと同じように、喪失感が感じられるからだ。 

 

こう書くと実写が良いように受け取られるかもしれない。 

が、実写否定派である。 

 

何より原作と同じ描写ができないからだ。 

日本の法律が邪魔をする。 

「裏」でなければ、あるいは欧米作品でもなければできないだろう。 

それでも一般向け作品としては作れないが。 

 

また、ストーリーを変えたり設定や登場人物を変えるのが大嫌いだ。 

アニメは実写より忠実な場合が多いが、それでも原作と違うこともある。 

「原作至上主義」なのだ。 

だから、ハリーポッターは英語(イギリス版)の原作を読んだ。 

 

実写版は原作を読まずに観た方が良いと思う。 


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